高橋信行の個展『2007』を開催いたします。

高橋信行の作品は深い観察とともに、重なる推敲を経て描かれています。
類似した構図の下絵を多数描いた末、時に放置しまるで実景を見るかのように、それを見返し、時間をかけてゆっくりと風景を作りあげていきます。しかし仕上がったどの作品も、その経てきた時間の片鱗さえ気づかせることなく、まして推敲の苦吟など微塵も知らされることもありません。むしろ描かれた景物はその場所以外には考えられぬほど鷹揚に配置され、いささかとぼけた味わいさえ感じさせるほどです。

もともと高橋は線描も巧みな上、天性の衝動を抱えた作家で多くのファンを勝ち得てきました。見たものを長き時間をかけて折り合いをつけ、ゆったりとした美しい表現に辿り着く、その経過の背後に潜む濃密なものが私たちを揺さぶります。

本展は高橋信行の当画廊での初個展で、新作を集めた久しぶりの東京展となるものです。

高橋 信行 略歴
展示作品(一部)

身近な眺め(源平池)
アクリル、パステル/紙
66×46.6cm
2007

よくある景色(大浴場・オレンジ)
油彩/キャンバス
80.3×80.3cm
2007

今年のともしび
アクリル、水彩、透明フィルム/紙
109.6×63.9cm
2007
関連書籍
作品集 『高橋信行』
グラムブックス
25×21.5cm / 112ページ / カラー図版154点
価格:3,570円(税込)
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