Untitled
2007
油彩/キャンバス
90x90cm
ベイスギャラリーでは下記の要領で伊庭靖子展を開催いたします。

伊庭靖子は果実、デザート、家具、リネンと言った、ごく身近な素材を写真や雑誌のグラビアなどを通して油彩やパステルで描いてきました。

ただそれは単純なフォトリアリズムとは一線を画し、そうしたメディアは単なる契機にすぎず、専ら部分と詳細に密かに宿る物の表情を探りながら、多くの作品を内外で発表、大きな評価を得ています。

  見慣れたものが描かれた作品は見る者に、描かれた素材間のせめぎ、色彩の揺れ、内包する光、周囲に共振を喚起する何かを次第に開示し、日常の物を見るということがいかに豊饒で惑乱を誘うか、更には物を見ることの貪欲さにまで改めて思い至らせるのです。

  伊庭作品を前にすると、私達の感応は一斉に発動されるのが恒で、五感とは仮の謂いに過ぎぬことを得心させられます。
見ることが触、聴を呼び込む、それはとりもなおさず描く伊庭靖子の目の豊饒さであり、ひいては伊庭の持つ絵画の大きな可能性でもあります。
  もともと深い官能は全ての感覚に通底しており、目に馴染み、優しく触れる、匂い立つ、そんな日常に静かに潜むものたちにこそ深く色濃いエロスが封印されているに違いありません。
  今回は当BASEGALLERYにおける初の個展となります。
  是非ご高覧の上、ご喧伝くださいますようお願い申し上げます。
  尚、近日中にグラムブックスより今回の展示作品も含め、過去の主要作品を全て網羅した伊庭靖子作品集(仮題)を発刊の予定です。そのため今回は展示作品のみの小冊子の用意はありません。

伊庭靖子の略歴
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