Scene no.22

2010
Three panels, overall 145.8 x 437.4 cm
油彩、キャンバス

風景の映像をPC に取り込み揺さぶる。それを画面に映し、筆ではなくローラーを用いて作品を作り上げる。 ローラーが作る画面は小さなめくりを伴って静かでマットな表面と限りない平らかさを生み出します。 私たちが目で見る風景はいつも捉えどころがなく、持ち帰って自らの中で再び解釈をしているにすぎない。 元来、眼は一つとして細部を把握してはおらず、見た後持ち帰ることが出来るのはいつも折り重なる色彩であり、 重畳的に吹きすぎる風の流れにすぎません。生きている私たちを包囲するのは細部ではなく大きな空気の流れのように思われます。 阿部の目は私たちの暮らしを囲む大きな空気を捕まえ、それを絵画に映す。作品を見ると抽象的な風景でありながら親和を感じるのは、 その抽象性が私たちの目の本質だからかもしれません。本展は阿部の3度目の展覧会になり、今回は大きな連作にも挑み見ごたえのある展覧になっています。
どうかご高覧のうえ、ご喧伝賜りますようご案内申し上げます。

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