Aerial #9
2015年
digital c-print
100 x 121 cm

Aerial #10
2016年
digital c-print
120 x 166 cm

この度、ベイスギャラリーでは安田佐智種展「VOID」を開催致します。

初期には足の裏側という下からの視点で写真、ドローイング、それにリンクした体験的なインスタレーションを発表し大きな評価を得てきました。
ニューヨークに活動の場を移した後も、視点を天地逆転させ高所から多数の画像を撮影し、それらを再構成した作品を国内外で精力的に発表、
近年ではCalifornia Museum of Photography、セゾン現代美術館、国立新美術館での展覧会にも参加し、更に確実な成果を上げています。

いつも作品には足下に踏みしめることによって獲得した肉体的な記憶、裏切れぬ個人の感触が背後にあり、高所からの俯瞰が及ぼす幸福感と不安はその一つといっていいでしょう。

更にその個人的な感触は、撮影する自分自体の不在に及び、画面に示された小さなVOIDは、確認しようと試みる自分の感覚の揺らぎ、
その虚実を示すようで、見る者に体験の主体変更を迫ってくるかのように思えます。

本展は先の東北大地震を経て、安田が現地で制作した作品もいくつか展示されています。
全て倒壊し、わずかな家の基礎を残すばかりの風景。
その基礎だけの風景は、足元から私たちの肉体と精神を揺さぶりその不安をゆっくりと伝えてきます。
この倒壊後の基礎写真は事故後撮りためた多くの基礎写真を一旦一部屋一部屋バラバラにし、それを繋げたものです。
まるでそれは従来の作品同様、モザイクを組み込むに似て、また追悼のタピストリーを制作するかのような仕事に思えます。
それは多くの人の肉体に潜む記憶を再度示し、また暴き続ける表現だというべきでしょう。
この作品も高層ビルの俯瞰作品と通底し、一層私たちの中に蠢動する感触を問うものです。

是非ご喧伝いただきご高覧賜りますようご案内申し上げます。

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