バスタブやカーテン、クローゼットなど、家具の置かれた室内の小さな模型をつくり、それを撮影した寺田真由美の写真作品を展示します。
部分を捉えればリアルな模型の部屋も、本来あるべき生活空間の一部分の再現にすぎず、何かが欠如した印象を与えます。同時に、色のない明暗のみの世界でありながら、ついさっきまでそこに誰かがいたような体温を感じさせ、そのことがかえって画面上に不在性を強く焼き付けています。
写真という表現手法そのものが内包する、虚像と実像の間の曖昧さ。模型のスケールがはらむ違和感と、自然光が醸し出す現実感との矛盾によってそれが露わに示され、私たちが何かを《見る》ことの危うさ・脆さを改めて突きつけてくるかのようです。
寺田 真由美 略歴
展示作品(一部)

カーテン010401a
137.5x101cm
ゼラチンシルバープリント、セレニウムトーニング
2001 / edition of 5

階段010101a
137.5x101cm
ゼラチンシルバープリント、セレニウムトーニング
2001 / edition of 5
展覧会カタログ
27x21cm / 14ページ / 図版16点
篠原資明による評論「寺田真由美展に寄せて」
価格:700円(税込) ※在庫なし
関連書籍
「明るい部屋の中で」
寺田真由美 著
求龍堂 刊
24x19cm / 136ページ
価格:2,100円(税込)
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