「2010年(平成22年)1月19日(火曜日)国際、地域」(Tracing Newspaper in Paint)
 新聞紙にアクリル、額装
 54.6 x 81.3 cm
 2013年

「Background #1」
 写真に油彩
 8.9 x 12.7 cm
 2103年

カメラは人が新たに獲得した目で、写真に写ったものは確かにそこにあったものだと認識される。
しかし当然ながら、写真が掬い取ったものは私が目で見たものと少し食い違う。

城田はこの数年、画面の中に恣意的な写真を貼りこみ、その周囲の風景を補足するように描いてきた。この一連の作品(参考)で、写真と手で描いたものを対峙させ、混交することで私たちの記憶の曖昧さ、
取り囲む風景の恣意性を表現してきた。
その後城田は、映像作品を経て新聞を用いた「Tracing Newspaper in Paint」へと展開する。
新聞に掲載された写真はいつも時事的な文章に囲まれているが、その記事をすべて隠匿し白黒写真の上にはグレースケールで、カラー写真にはカラーで色彩を施してみせる。
またこの度の新作「Background」は作家の家庭に保管された(またどこの家庭にもある)写真に手を加えたものである。
それは今や忘れてしまった日常の生活が撮られたものだが、そこに写された人物を消去し、
更にその背景をそこに描きこむ。わずかに人物の痕跡を残す画像は従前と全く違う意味合いを持って私たちの前に現れてくる。
ここでも目で見て描くことと、写真との関係を契機に私たちを包囲する記憶の曖昧さや既存の観念を裏切ることを問う変わらぬ姿勢を見ることが出来る。

本展は作家にとって新しい作品を問う展覧会となります。
是非ご高覧の上ご喧伝賜りますようご案内申し上げます。

– 作家のことば –
「Tracing Newspaper in Paint」
「Background」

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