宮岡俊夫「誰も知らない場所」

このたび、BASE GALLERYは下記の要領で宮岡俊夫展 『誰も知らない場所』 を開催いたします。

宮岡は描く風景を「誰も知らない場所」と呼ぶ。
描いた風景は、ランダムな雑誌の切り抜きを素材とする以上、それは自ずと匿名で自らの記憶も思い出も介在しないものだ。
また作品は素材のイメージを反転して描かれる。
描かれた風景はまるで宮岡自身を静かに包囲し、むしろ本人が静物に成り果てるかに見える。
反転して描くのも、表現する人の小賢しい知恵や工夫から遠ざける一手段なのだろう。
宮岡の絵画はどこか、人という個がさほどの存在でもなく、静かにただ佇むだけだの存在だと見るものに思わせてしまう。
それでも私たちは静かに生きて、なお私を確かめようとする。
宮岡の作品はそんな寂寥を抱えながら「誰も知らない場所」を描いているように思う。
本展は当画廊での初めての発表になる。

皆様のご高覧をご案内申し上げるとともに、広いご喧伝をお願い申し上げます。

– 作家のことば –