遠藤 良太郎 展 「PAINTING FREE」 Ryotaro Endo Exhibition ‘PAINTING FREE’

コンピュータのモニター上で描画した図像をキャンバスに出力し、その上に数カ所絵具の筆触を描き足すという、遠藤が近年継続して取り組んでいる手法による新作約10点を展示します。
ペンタブレットを使った線描はより重層的に複雑さを増し、空間性が解体された画面は混沌とした不安定な装いをまとって呈示されます。

遠藤の絵画制作は、絵画という表現形式がすでに終極に達した感のある今のこの時代において、それでもなおどのような絵画が新しい表現として成立しうるのかという本質的な問題意識に立脚しています。
確かに具体的な「何か」を描きながらも、その具体性を打ち消すように自由な色彩を遊ばせた鮮やかな画面と、物語性・象徴性の暗示と拒否の間に微妙なバランスをとる作品タイトル。そこには、見る者の視線を巧妙に操り、絵画を「読むもの」から「見るもの」の位置に引き戻し、「見ること」そのものの深度を取り戻そうとするアーティストの意図が込められています。

本展は、2003年につづきベイスギャラリーでの2回目の個展となります。