2004年11月1日(月)~12月22日(水)
移転してきた金融の街、兜町にならい「アートとマネー」と題した本展は、両者が愛憎半ばする血縁であることをあらためてご覧戴くものです。 神聖で純粋な素振りを見せるアートと通俗の貨幣は大きく相反するようにみえます。しかしたかだか紙かキャンバスに描かれたものをアートと呼びうる何らかの契機も、紙切れを誰も疑わず財と承認する背後の力も、いずれ人が作った虚構に違いなく、その意味で最も濃い血縁でもあるのです。 人は多くのフィクションに支えられて生きていきます。もともと生が虚構の構造を持つ以上、アートや貨幣は全き相似の存在に思えます。しかし経済に携わる者はこの近親を歌舞音曲、腹の足しにならぬと嘲笑う。 この距離と齟齬をあらためて再考することがこの展覧会の本旨かもしれません。多くのアーティストはこの両者の深い紐帯を認識し多くの作品を制作しています。 展覧会のオープニングは新札発行の日にあわせ11月1日です。 出展作家 内田 かんぬ 遠藤 良太郎 太田 三郎 ロバート・シルバース(アメリカ) ロレンツ・シュプリング(スイス) 田中 朝子 中ザワ ヒデキ ジュリアン・ホーバー(アメリカ) ヤン・ヘンデリクセ(オランダ) 洪 浩(中国) |
展覧会カタログ |
27x21cm / 32ページ / 図版33点 小澤博による評論「紙一重の……」 価格:1000円(税込) |