安喜万佐子は、彼女が実際に見た風景を描きます。しかし記憶の中にある風景は、時を経て曖昧になりアノニマスなものに変容を遂げます。安喜の描く風景はそんな明らかな輪郭と確信に支えられた世界が、その実、曖昧に揺れ動き震えている実体を大判のキャンバスに開陳したものです。
テンペラと油彩を用いて描かれた表面は、光を受け止めては跳ね返し、画面に色の深みと奥行きを与えています。それらは私達に画面に分けいる衝動を生みだし、その海のような画布のただ中で、私達は自らの実体に向き合うことに気付かされるのです。
安喜 万佐子 略歴
展示作品(一部)

obliterated ground
180x270cm
テンペラ、油彩/麻布、木パネル、白亜
2003
展覧会カタログ
21x27cm / 14ページ / 図版11点
木下長宏による評論「そこから〈絵〉は始まる。―安喜万佐子展に寄せてー」
価格:700円(税込)
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