田中朝子は、日常のありふれた物をモティーフにしてイメージを作ります。カップやソーサー、ハンカチ、角砂糖など、すでに日常の中で何物でもなくなったものたちを、食卓や掌中から切り離し、美しい余白の中に呼び込んでいきます。
写真のみならず、シルクスクリーンや印刷といった多様な技法を用いて描かれた普通のものたちは、静かな画面の中で本来の姿をととのえ、固有の声を取り戻し始めるのです。
それは私たちに、あらためて人とものとの関係を問い掛けてくるもので、日常が持つもう一つの表情を知らせてくれるものでもあります。
田中 朝子 略歴
展示作品(一部)

saucer/cup1
45x40cm
インクジェットプリント
2003

saucer/cup5
45x40cm
インクジェットプリント
2003
展覧会カタログ
27x21cm / 10ページ / 図版19点
三脇康生による評論「ものの呟き、あるいは正岡子規の頭の形」
価格:600円(税込)
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