白いキャンバスの上に描かれた線や形は、人間のようであったり、草木のようであったり、雲のようでありながら、どれも明確な輪郭を持っていません。筆先が彼を導くのか、彼が線を生み出すのか、栗原一成の絵画は作者と絵画の対話から生成します。
一見たよりなく見えるこれらの線は、その始まりや終わりは曖昧でありながら、それぞれがまるで自生しているかのごとくに意志を伝え、既成の空間概念を覆して深く浅くに広がっていきます。鑑賞する私達は彼らの対話を引き継ぐかのように新たな往還運動を始め、その空間の中で感覚器官がくすぐられるのを体験し、絵画が絵画であることを見せつけられます。
栗原 一成 略歴
展示作品(一部)

重力異常
73x103cm
アクリル/キャンバス
2003
展覧会カタログ
27x21cm / 10ページ / 図版10点
小林康夫による評論
価格:600円(税込)
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