What Were They Like ?
90 x 60 cm
C-print
2010

Still Function
90 x 60 cm
C-print
2010

伊賀はおもちゃの人形を用いて、生身の私たちの生活や社会の状況を写真で表現してみせます。
人を模した玩具は、そのパーツや伊賀によって図られた奇矯な姿態を借りて人の奥深く秘匿するものを怯むことなく暴いていきます。
玩具は人の意図に従い、ひどい形をとらされたり、時にはパーツだけにされたりする。
しかし人は他者のみならず自分さえ「おもちゃにする」ことも私たちが良く知るところなのです。
弄びおもちゃにするのは私たち人間の属性と言っていい。
伊賀は誰もが持ち抱え、しかし口に出来ぬ秘匿された悪意や感情を表現するにはこの玩具が悲しくも適役と考えているのです。
わずか1cmに満たない肌着、靴がジェリーに包まれて濡れる様子は私たちが玩具と相似であることを改めて認識させるものです。
伊賀は1999 年「キヤノン写真新世紀」優秀賞を受賞後、一貫してもどかしくも不如意な人形を用いながら、
むしろ能弁に生き生きと人の内奥を撮り続けてきました。
作品における、いささかの諧謔はおもちゃにすることの悲しみを希釈する一手段なのでしょう。
本展はベイスギャラリーでの2度目の個展となります。
なにとぞご高覧、ご喧伝たまわりますよう、よろしくお願いいたします。
伊賀美和子の略歴
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