阿部未奈子展

「scene no.15」
2008年 油彩／キャンバス　130x160cm

　先ず風景の写真をPCに取り込むことから阿部の作品制作は始まります。取り込んだ画像を揺さぶると見慣れた既存の風景は大きなゆがみを生み思いもかけぬ色彩と形が姿を現わします。それをキャンバスに投影し描く。色面は筆ではなくローラーで埋めていく。その技法のため筆では望めないフラットさを手に入れ、さらにマットな画面を獲得しています。こうして描かれた風景は顔になぞらえるなら、泣く、怒る、笑うといった一人の人が持つ多様で思いがけない表情を暴いていくかのようです。私たちを囲む風景も少し歪めてみると豊穣な表情を潜めていることに気が付かされます。
　

本展は阿部の2年ぶり2度目の個展になります。制作のスタイルも堅固になり、海外でも多くのコレクターが新作を待ち望んでいます。是非ともご高覧の上、ご喧伝賜りますようお願い申し上げます。